メルカリの世界:02 見えてくる底辺転売ヤーの実態

Submitted by 恩田重直 on Thu, 09/02/2021 - 06:00
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メルカリのプライマリーロゴ(株式会社メルカリ「プレスキット」より引用※1
 


 本題に入る前に、メルカリ体験を通じた利用実態の観察から、何が見えてくるのか、に言及しておこう。

 真っ先に挙げるべきは、転売ヤーの実態であろう※2。ただし、現時点で言及できるのは、底辺の転売ヤーである。「底辺転売ヤー」、こういう言い方が妥当なのか否か、転売の全体像が非常にとらえにくいので、自信がないのだが、少なくとも、この半年という期間で捕捉できた転売ヤーは、自らが転売ヤーであることをひけらかすような態度をとる、つまりは見つけやすい、下品きわまりない連中である。

 

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 こやつらは、仮に転売が犯罪であるならば、オレオレ詐欺などの特殊詐欺でいうところの「受け子」とか、「出し子」といった※3、組織の末端にいる真っ先に捕まる面々に相当する。ただ、受け子や出し子と決定的に異なるのは、犯罪ではないと認識しているためか、どいつにしても転売をしているという自覚がありそうな上、妙に誇らしげなのだ。その驕りが出品物の写真や説明、コメントに垣間見えるから、いらっとさせられるし、そこには養老孟司の言う「バカの壁」が厳然と立ちはだかっているような気がして※4、たとえ喉から手が出るほど欲しい商品であっても質問することすら憚られる。

 特殊詐欺の頂点が捕まらないのと同様、れっきとした転売屋ほど、見つけにくい。真の転売屋の実態を暴くためには、相応の覚悟が必要であろう。メルカリ体験記などという生ぬるい観察では、とてもじゃないけど、手に負えない。フリル、ショッピーズなどのフリー・マーケット・アプリケーションはもちろんのこと、ヤフオクをはじめとしたオークション・サイト、さらには、質屋やリサイクル・ショップといった実店舗などなど、転売の可能性を秘めた商品が出回る、ありとあらゆる舞台を徘徊しているだろうし、それぞれの舞台で複数のアカウントを巧みに使い分け、日々利鞘を貪っているに相違ない。

 ここで組織犯罪である特殊詐欺を引き合いに出したが、転売の世界でも、どうも組織的な転売屋集団が台頭しはじめてきていると睨んでいる。そのしっぽが見え隠れしているように映るのだが、今のところ確信までに至っていない。

 

 

 したがって、今回言及するのは、メルカリの表層で蠢いている、目障りな転売ヤー、すなわち底辺転売ヤーであることを、予めご了承いただきたい。とはいえ、こやつらが失せるだけで、かなり快適なオンライン蚤の市が実現する、と考えている。なぜなら、真の転売屋は、転売屋であることを微塵も感じさせないだろうから。むしろ、真の転売屋との取引は、後述するが、目障りな転売ヤーらが使う常套句「気持ちの良い取引」で終わるはずである。

 では、こやつらをどうするか。もちろん、蒐集したアカウント名を公表することは可能である。しかし、そんなことをしても意味がないだろう。そもそも、メルカリはアカウント名からは検索しにくい仕組をつくりあげているし、観察したのは、至って個人的な興味から恣意的に選んだ、ごくわずかな商品である。仮に、そこで暗躍する転売ヤーの吊し上げに成功したところで、二番手、三番手の転売ヤーが喜び勇んで躍り出てくるに違いない。そのぐらい、ほとんどの商品に少なくとも二、三の転売ヤーが張り付いているように感じている。

 そんな訳だから、本稿では、木を見て森を想像するよう心がけたい。つまり、採集したのはわずかな事例であるが、それらを通して、メルカリにごまんとある商品に張り付く、底辺転売ヤーに共通する特徴を炙り出したいということである。その正否は、読者諸君が恣意的に選んだメルカリ商品で確認していただきたい。(つづく

 

『メルカリの世界』(目次)

はじめに:メルカリ現象を読むということ
01 海外からアクセスできない!
02 見えてくる底辺転売ヤーの実態
03 底辺転売ヤーの採集方法
04 転売ヤーに売る人たち、転売ヤーから買う人たち

第1章:変わる価値観
05 ごみが売れる!?
06 メルカリ中毒のはじまり
07 「ごみ」から「在庫」へ
08 後塵の「ごみ」屋の奮闘

 

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